説 明:
字喜屋武の獅子舞が、いつ頃から演じられるようになったか、不明である。ただ、かつての
獅子舞の演者の系譜をたどっていった場合、少なくとも100年以上前から演じられていたことが
わかる。
現在の獅子は、1949年に作製されたがそれ以前にも3回程度作りかえられた事を古老達が
記憶している。
舞型には最初の演目「ゼイクーヤー」(舞台3周、ゼイを口にくわえて投げ捨てる)と中間の
演目「マーイクーヤー」(舞台4周、毬を口にくわえて、じゃれ遊んだ後投げ捨てる)と最後の演目
「ションカニグワー」(舞台5周、右・左に跳ぶ。腹這いに右・左に回転、腹這い右・左・正面と
顔振り、月見、顎を左腰にあてる)の三つがある。
これらの三つの中でも、「ションカニグワー」は、技術的にも一番難しく、最も体力が要求される
ので、1960年頃から約10年間は演じられず、1970年に復活された時は、区民から大喝采を浴びた
ものである。喜屋武の獅子は村の守護神であると同時に、区民に親しまれ愛されている。
特徴としてあげられるのは、一歩一歩同じ側の足を踏み込むように歩み、どっしりとした重量感に
満ち、視線は百獣の王らしく絶えず周囲を威圧する様に睨みつけること、各舞型に共通する技
としての顔振り(両踵をあげ、「顎」を高くあげると同時に足下を突くよう急直下し、その反動を
利用して「顎」を右足を右の方向へ踏み出しながら突き出し、半回転させてガクッと突き手元に引き
寄せる。左にも同様)や、演技修了後、後肢から下手奥に退場する事である。喜屋武の獅子舞は、
対外的には余り知られていないが、上記の特徴は喜屋武独特の技であろう。しかしながら、
古老達はまだまだ不充分であると評する。「ゼイクーヤー」「マーイクーヤー」の歩み方は以前と違う。
「ションカニグワー」は味がない。原型に戻すにはかなりの時間を必要とする。一見安泰している
かの様な喜屋武の獅子舞も様々な問題を抱えている。 |