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「こころの健康を守り推進する基本法」の制定に関する意見書
心身の健康は、一人一人の国民の基本的な権利であり、社会の活力と発展の基盤をなすものである。しかし、現在の我が国は、年間自殺者が3万人にも上り、320万人を超える方々、つまり国民のおよそ40人に1人が精神疾患のために医療機関を受診しているという数字に代表されるように、「国民の心の健康危機」と言える状況にある。自殺はもちろんのこと、引きこもりや虐待、路上生活など多くの社会問題の背景にも、心の健康の問題が大きく関与している。
世界保健機関(WHO)は、病気が命を奪い生活を障害する程度を表す総合指標(障害調整生存年)を開発し、政策による優先度をあらわす指標として提唱しているが、この世界標準の指標により、先進国において命と生活に最も影響するのは精神疾患であることが明らかになった。
また、我が国においては、自殺やうつ病がなくなった場合の経済的便益は、単年で約2兆7千億円という推計もあり、さらに都道府県が作成する医療計画に盛り込むべき疾患として新たに精神疾患を加え、がんや脳卒中とともに5大疾病とする方針が国において示されるなど、心の健康への対応が強く求められている。
欧米では国民の健康についてのさまざまな施策が進められているが、日本ではそうした重要度にふさわしい施策がとられておらず、精神保健・医療・福祉サービスの現状は、国民ニーズにまだまだ十分にこたえられるものとはなっていない。
心の健康危機を克服し、安心して生活ができる社会、発展と活力ある社会を実現するためには、心の健康を国の最重要課題の一つと位置づけ、5大疾病の時代にふさわしい基本法を制定し、総合的で長期的な施策を実行することが必要である。
よって、南風原町議会は、国会及び政府に対し、その重要性にふさわしく、すべての国民を対象とし、心の健康についての総合的で長期的な政策と、そのために必要となる財源等を保障する「こころの健康を守り推進する基本法」を制定するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年(2012年)6月22日 沖縄県島尻郡南風原町議会
あて先
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 厚生労働大臣 総務大臣
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